リターゲティング広告とは?仕組みからやり方までわかりやすく解説

リターゲティング広告とは、インターネット広告の一つで、比較的コンバージョン率が高い広告手法です。

運用の仕方次第では高い成果をあげられる可能性がありますが、デメリットももちろんあります。

この記事では、リスティング広告の概要や費用対効果、メリットデメリットなどについて詳しく解説していきます。

この記事を読むことで、リターゲティング広告を知らなかった人でもどのように運用すればいいのかわかるようになります。

リターゲティング広告とは?

リターゲティング広告とは、一度自社サイトを訪れたことがある人に向けて出す広告のことです。

サイトを訪れたということは、興味がある可能性が高いので、広告を出すことで成果につながりやすくなります。

興味があるであろうユーザーに向けてピンポイントで広告を出すことができるので、上手くいけば高い費用対効果が期待できます。

また、リマーケティング広告という言葉を耳にしたことがある方もいるかもしれません。

リターゲティング広告もリマーケティング広告も基本的な意味は一緒であり、Googleは「リマーケティング」、Yahoo!やFacebookなどは「リターゲティング」を使用しています。

この記事内では「リターゲティング」で統一して使用して解説していきます。

リターゲティング広告の種類

リターゲティング広告には以下の5つがあります。

  • Google広告
  • Yahoo!広告
  • Facebook広告
  • Instagram広告
  • LINE広告

それぞれの媒体の管理画面からリターゲティング用のタグを作ることができます。

そのタグを自社サイトに設置することにより、リターゲティング広告の配信が可能です。

リターゲティング広告を始める前に知っておきたい用語

リターゲティング広告について本格的に解説する前に、知っておくべき基本的な用語を紹介していきます。

行動ターゲティング広告(BTA)

行動ターゲティング広告(BTA)とは、1人のユーザーがどんなサイトを訪問しているかを追跡することで、その人がどんなものに興味を持っているかを推測し、興味がありそうな広告を表示する仕組みです。

そのユーザーの普段の行動(サイトの閲覧)をもとに広告を出せるので、興味を持つ可能性が高い広告を興味がありそうなユーザーにピンポイントで配信することができます。

Cookie(クッキー)

Cookie(クッキー)とは、ブラウザに情報を保存するための仕組みの一つです。

例えば、パソコンからSNSにログイン後一度離脱したとします。

しばらくしてもう一度アクセスした場合に、あまり時間が経過していなければIDとパスワードの入力が不要だったという経験はないでしょうか?

もしくは、ショッピングサイトで買い物をしている途中でログアウトしたが、再度アクセスした時に前回のカートの中身が残っていたという経験はないでしょうか?

このように、Cookie(クッキー)はブラウザの情報を保存しているので、ユーザーの買い物の履歴や興味があることなどをwebサイト側(GoogleやYahoo!)は知ることができます。

そのため、マーケティングや広告の配信にも有効活用されています。

アドネットワーク

アドネットワークとは、webサイトやSNS、ブログなど複数の広告媒体を集めて広告配信ネットワークを作ることで、広範囲の媒体で広告を配信する仕組みです。

幅広い媒体にまとめて広告を配信できるので、広告主は多くのトラフィックを見込むことができます。

また、媒体側もアドネットワーク事業者に受注、掲載を丸投げできるなどのメリットがあります。

インプレッション保証型(CPM)

インプレッション保証型(CPM)とは、広告主のウェブサイトへ誘導するテキストリンクやバナー広告などが、ウェブサイトの閲覧者によってクリックされた数に応じて料金が決定すること。

ページが表示されたかが重要であり、商品が購入されたとか会員が増えたのような行動は含まれません。

サイト誘導よりも広告を見てもらうことで認知度の向上を期待しているという側面があります。

クリック保証型(CPC)

クリック保証型(CPC)とは、クリックされた回数に関係なく、ウェブサイトに表示された回数に応じて料金が決定されるものです。

確実に一定数を自社サイトに誘導できるので、効率的にアクセスを獲得することができます。

クリック保証型では自社サイトに訪問してもらうことが大切であり、認知度の向上などではなく、具体的に商品やサービスを購入してもらうことが目的であるということが多いです。

見込み客

商品やサービスの購入を見込める客層のことを指します。

一度サイトに訪れたことがあるユーザーは、その商品やサービスに興味を持っていると認識できるので、リターゲティング広告などでサイトに再訪を促します。

リターゲティング広告の仕組み

リターゲティング広告がどのような広告スタイルかは、ある程度おわかりいただけたはずです。

しかし、リターゲティング広告はどのようにしてサイトから離脱したユーザーを追っているのでしょうか?

これは「Cookie(クッキー)」が大きな役割を果たしています。

前述したように、Cookieはブラウザに情報を保存する仕組みのことです。

広告を出したいサイトに「タグ」を設置することで、ユーザーがページを訪れるとブラウザ経由でCookieが付与されます。

このCookieをわかりやすく言えば、「発信器」のような役割を果たしており、ユーザーを追跡することでリターゲティングが可能になっているのです。

タグの埋め込みが必須

先ほど軽く触れましたが、リターゲティングするには広告を出したいサイトに「タグ」を設置しなければなりません。

リターゲティング用のタグを該当のページに設置することで、ブラウザ経由でユーザーにCookieが付与されます。

このCookieの情報をもとに、ユーザーを追跡し、ユーザーが閲覧しているサイトの広告枠に自社広告を表示させることが可能になります。

このタグの設置をしなければ、リターゲティング広告は利用できないということを理解しておきましょう。

タグの埋め込みがわからない人は、ASPに依頼することで、ASPが広告主に依頼してくれます。

リターゲティング広告におけるリストって何?

リターゲティング広告を始めるうえでタグと同様に重要なのが「リスト」です。

これはその名の通り、リターゲティングして広告を表示させる対象ユーザーの一覧であり、セグメント分けしてリスト化します。

セグメント分けは主に以下のような分け方をします。

  • サイトを訪れた全ユーザー
  • 特定のページを訪れたユーザー
  • コンバージョンに達した/達しなかったユーザー
  • 特定の性別・年齢のユーザー
  • 特定の端末を利用しているユーザー

リターゲティング広告を運用する際には、様々なリストを併用して運用していくことが重要です。

年齢や性別などユーザーの特性によって、広告表示の有無や表示回数は当然変える必要があります。

自社の目的に沿ったリストを作成し、運用していくことが運用のポイントです。

費用対効果(ROAS)はどう?

リターゲティング広告は、リスティング広告などと比較すると一般的には費用対効果は高いと言われています。

これは、商品やサービスに対して興味がありそうなユーザーにピンポイントで広告を出せるためでしょう。

これはインターネット上だからこそできることであって、実社会・実店舗で同じようなユーザー全員に声をかけようと思ってもなかなか難しい方法です。

リターゲティング広告のメリット

これまでと重なる部分もありますが、リターゲティング広告には以下のようなメリットがあります。

  • 再訪問したユーザーは成約率(CVR)が高い
  • CPA(成果1件あたりの広告費)を下げることができる
  • 結果まで辿りつけなかったユーザーを追える
  • サイト訪問後の期間によってリストを作成できる
  • 閲覧ページ別にリストを作成できる
  • 離脱したユーザー別にリストを作成できる
  • 1度アクションを起こしたユーザーに再度アプローチできる
  • 1度アクションを起こしたユーザーに違うアクションを促す広告を配信できる
  • 特定のユーザーを除外できる

それぞれのメリットを詳しくみていきましょう。

再訪問したユーザーは成約率(CVR)が高い

繰り返しになりますが、リターゲティング広告は1度サイトを訪れたユーザーに向けて広告を出すものです。

つまり、その商品やサービスに対して興味があるユーザーにピンポイントで広告を届けることができるため、成約率(CVR)は高い傾向にあります。

CPA(成果1件あたりの広告費)を下げることができる

CPAは、「広告費用÷コンバージョン数」で計算可能です。

前述したように、リターゲティング広告は成約率が高いのでCPAは抑えやすくなります。

CPAをいかに抑えるかは広告の永遠の課題とも言えるものです。

それを実現できるのがリターゲティング広告です。

結果まで辿りつけなかったユーザーを追える

リターゲティングのターゲットとなるユーザーは、サイトを訪れたものの何らかの理由によりコンバージョンに至らず離脱したユーザーです。

興味はあるが離脱したユーザーを追って広告を出せるのがリターゲティング広告最大のメリットです。

サイト訪問後の期間によってリストを作成できる

Cookieには有効期間を定めることができます。

つまり、ユーザーを何日間追い続けるかということです。

当初の設定では30日間ですが、最大で540日間追いかけ続けることができます。

一般的にはユーザーのモチベーションは、サイトを訪れてから日が経つごとに落ちていきます。

ただ、商品やサービスによって、長期間考えて購入するユーザーもいるということも頭に入れておきましょう。

商品やサービスによって、サイト訪問後の期間によってリストを作成できるのもリターゲティング広告のメリットです。

閲覧ページ別にリストを作成できる

リターゲティング広告では、閲覧ページ別にリストを作成することが可能です。

例えば、旅行サイトのページを見ているユーザーがいたとしましょう。

人によって海外旅行のページをよく見ている、学生旅行の特集をよく見ている、国内の温泉地を探しているなど人それぞれです。

このような場合に、「海外旅行のページ」「学生旅行の特集ページ」「温泉地のページ」というリストを作成し、それぞれのリストに適した広告を出すようにすればコンバージョンする確率も上がることが考えられます。

このように、閲覧ページ別にリストを作成できるのもリターゲティング広告のメリットです。

離脱したユーザー別にリストを作成できる

リターゲティング広告では、サイトを訪れたユーザーがどの段階で離脱したのかを知ることもできます。

例えば、ECサイトでTOPページで離脱したユーザーと商品を詳細に見たのちに離脱したユーザーがいれば、購入する可能性は後者の方が高いでしょう。

あるいは、1分以内に離脱したユーザーと5分以上サイトを見て離脱したユーザーでも、後者の方が購入する可能性は高いでしょう。

このように、離脱した場所や離脱した時間によってリスト分けすることで、有効的にアプローチすることができます。

例えば、購入の可能性が高そうな離脱ユーザーに対しては割引の広告を出すなど、異なる訴求の広告を配信することも可能です。

1度アクションを起こしたユーザーに再度アプローチできる

基本的には1度サイトに訪れたものの離脱したユーザーに対して広告を出すのがリターゲティング広告です。

しかし、1度コンバージョンに達したユーザーに対してリターゲティング広告を出すことが効果的なこともあります。

例えば、毎日の生活の中で繰り返し使用する商品などリピートが期待できる場合などです。

そのような場合には、そろそろ買い替えの時期であろう時に広告を出すことで再度購入してもらえる可能性が高まります。

1度アクションを起こしたユーザーに違うアクションを促す広告を配信できる

1度コンバージョンに至ったユーザーは、自社の商品やサービスに興味があるということになるので、前回とは違う商品も購入してくれることを期待できます。

そこで、最初に購入した商品と近い性格のものを広告で紹介することで、そちらも購入してもらえる可能性が出てきます。

特定のユーザーを除外できる

リターゲティング広告で重要なのがリストですが、このリストのなかでコンバージョンの可能性が低いリストを除外することで無駄な広告を出さないようにもできます。

興味がないユーザーには広告を出さず、興味がある人にだけ出せるのもリターゲティング広告のメリットです。

リターゲティング広告のデメリット

リターゲティング広告について多くのメリットを解説してきましたが、デメリットについても理解しておく必要があります。

リターゲティング広告の考えられるデメリットは以下のようなものがあります。

  • しつこいと思われてしまうことがある
  • 同じ広告が何度も表示されて飽きられてしまう
  • 新規顧客は見込めない

それぞれ詳しくみていきましょう。

しつこいと思われてしまうことがある

この記事をご覧の方も経験があると思います。

いろいろなwebページを見ているが、その度に同じ広告が表示されていることが。

それもリターゲティング広告の可能性がありますが、正直な気持ちとして「しつこいな」と感じたこともあるのではないでしょうか?

他のユーザーも同じように「しつこい」「もう見たくない」と感じている場合があります。

やり過ぎればブランドイメージの低下や優良顧客のを失うことにもつながりかねません。

広告の表示頻度はしっかりとコントロールするようにしましょう。

広告の表示頻度をコントロールするには、「フリークエンシーキャップ」を設定する必要があります。

これを設定することで、広告の表示頻度の調整を行うことができます。

適切な表示頻度は商品やサービスによって異なるので、広告を運用していくなかでデータをしっかり集めていきましょう。

同じ広告が何度も表示されて飽きられてしまう

上記と似たようなデメリットですが、何度も同じ広告が表示されるとユーザーから飽きられてしまいます。

飽きられるということは興味を持たれないということなので、広告をクリックされる可能性も減ってしまいます。

これを防ぐにはしっかりとリスト分けを行い、リストによって配信する広告を変えるなどの工夫が必要です。

リストによって広告が変われば、いくつかのリストにいるユーザーは同じ企業でも別の広告が流れてきます。

別の広告であれば、多少新鮮な気持ちで見ることができ、飽きるまでの時間も長くなります。

新規顧客は見込めない

リターゲティング広告はあくまでも1度自社サイトに来たユーザーに対して広告を出すというスタイルです。

そのため、新たな顧客を取り込めるというわけではありません。

新たな顧客を取り込みたいのであれば、別の広告手法を考える必要があります。

リターゲティング広告のやり方

では、実際にリターゲティング広告を始めるにはどうすればいいのか解説していきます。

ここでは、Yahoo!とGoogleのリターゲティング広告のはじめ方について解説します。

YDN(Yahoo!)の設定方法

Yahooの場合、リターゲティング広告は「ディスプレイ広告」で設定・運用を行います。

まずは、広告管理ツールのディスプレイ広告タブでアカウントが作成されているかを確認しましょう。

ディスプレイ広告のアカウントがない場合には、先にディスプレイ広告のアカウントを作成する必要があります。

また、YDNを始めるにあたり、自社サイトに「プライバシーポリシーに必要な記載事項」を明記しなければなりません。

これは、ユーザーのweb上での行動履歴を情報を利用するためであり、これを明記していないから違法などではありませんが、企業価値の低下を招いてしまいます。

以上の準備ができたら、以下の流れに沿ってリターゲティング広告の設定を行います。

  1. リターゲティング用のタグを取得する
  2. 取得したタグをサイト内に設置する
  3. ターゲットリストを作成する
  4. ターゲットリストを広告グループに設定する

それぞれについて詳しくみていきましょう。

リターゲティング用のタグを取得する

ユーザーの訪問履歴を得るために「サイトリターゲティング用のタグ」を取得します。

サイトリターゲティング用のタグには「従来版」と「リニューアル版」がありますが、基本的にはリニューアル版を取得しておけば問題ないです。

取得したタグをサイト内に設置する

取得したタグをサイト内に設置します。

TOPページだけではなく、ユーザーを追いたい全ページにタグを設置しなければなりません。

タグを設置してないページの追跡はできないので注意しましょう。

設置方法は、コピーしたタグをサイト内の終了タグ</body>の直前に貼り付けます。

タグを貼り付けたファイルを保存しアップロードすればタグの設置は終了です。

ターゲットリストを作成する

次に、ターゲットリストを作成します。

リターゲティング用タグを初めて発行した段階で「ターゲットリスト(デフォルト)」が自動で作成されます。

まずはこの「ターゲットリスト(デフォルト)」を使って、データを蓄積させていきましょう。

ターゲットリストを広告グループに設定する

作成したターゲットリストを、ターゲティング設定で選択した「サイトターゲティング」を広告グループに設定します。

広告グループを設定することで、広告グループ内に作成した広告をターゲットリストのユーザーに配信できます。

GDN(Google)の始め方

Googleの場合も、Yahoo!同様にリマーケティングは「ディスプレイ広告」内で設定・運用を行います。

ただし、Google広告のアカウントがあれば問題ないので、ディスプレイ広告のアカウントを作成する必要はありません。

※この記事中はリターゲティングで統一してきましたが、設定などについてはややこしくなるので、『GDN(Google)のはじめ方』においては「リマーケティング」を使用します。

GDNでのリマーケティング広告の設定は以下のような流れで行います。

  1. Google広告でキャンペーン設定を選択する
  2. リマーケティングタグを取得する
  3. 取得したタグをサイトに設置する
  4. リマーケティングリストを作成する

それぞれについて詳しくみていきましょう。

Google広告でキャンペーン設定を選択する

Google広告にログイン後、まずキャンペーン設定を選択します。

キャンペーンタイプには「ディスプレイネットワークキャンペーン」と「検索ネットワークキャンペーン」がありますが、リマーケティング広告の際には「ディスプレイネットワークキャンペーン」を選択してください。

リマーケティングタグを取得する

次に、リマーケティングタグを取得します。

「共有ライブラリ」の「ユーザーリスト」から広告を表示させるユーザーの条件を設定。

「新しいタグ」を選択するとマーケティングタグが発行できます。

取得したタグをサイトに設置する

取得したマーケティングタグをwebサイトに設置していきます。

設置方法としてはYahoo!の時と同じです。

追跡したい全ページにタグを設置しましょう。

リマーケティングリストを作成する

タグが設置できたら、ユーザーのリマーケティングリストを作成します。

データが蓄積するにつれて、リマーケティングリストも細かく作成できるようになっていきます。

作成したリマーケティングリストをキャンペーンページに紐付けすることを忘れず行ってください。

リターゲティング広告の料金と予算

リターゲティング広告の料金体系は主に「クリック課金型」と「インプレッション型」に分かれます。

クリック課金型は広告をクリックされて初めて料金が発生するのに対して、インプレッション型は広告を見られた段階で料金が発生します。

リターゲティング広告の場合クリックされる可能性が高いためか、クリック課金型が採用されていることが多いです。

「1クリック10円〜」ですが、相場は50円〜100円程度です。

予算に応じて上限金額を設定できます。

まとめ

リターゲティング広告は、自社の商品やサービスに興味があるユーザーに向けて広告を出す手法なので、コンバージョンの確率が高いのが特徴です。

しかし、新規顧客を増やせるわけではないので注意が必要です。

この記事を参考にメリットとデメリットを精査したうえで、他の広告とも上手に組み合わせながら利用することで高い成果をあげられるでしょう。

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